和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(4)
寿々賀(すずか) 奈良絵本
巻子仕立 近世前期頃写 紙本極彩色四十一図 木函入 三軸 12,600,000円

紙高26.6糎、長サ(上)12米1.3糎、(中)12米54.3糎、(下)11米1.3糎。黄土色地一重蔓中牡丹唐草鳥文様入緞子表紙。見返しに金切箔を散らす。金色の題簽に「寿々賀 上(中・下)」と墨書。挿絵は上巻十四図、中巻十五図、下巻十二図の計四十一図。絵巻の上下辺には銀泥を引く。なお、絵巻下辺の手ズレ跡から、元冊子本であったものを絵巻に改装したものであると分かる。
『田村草子』とも称される御伽草子で、藤原俊祐・俊仁・俊宗(田村丸)の三代にわたる怪物退治譚。本書名「すずか」とは、俊宗と契り、大嶽丸退治・高丸退治を助ける鈴鹿山の天女の名前に由来する。藤原俊重将軍の子俊祐が益田ヶ池の大蛇の化身である美女と契り日竜丸が誕生する。日竜丸は近江国の大蛇を退治して後に俊仁将軍を名乗る。十七歳で照日の前と結婚し、二人の姫が誕生するが、照日の前を陸奥高山の悪路王に奪われた為、奥州に赴いてこれを退治し、照日の前を救出する。奥州行の途中では、初瀬の郡田村の賤女と契り、ふせり殿(のちの俊宗)が誕生し、長じて父子の対面を果たす。俊仁は唐土に遠征して戦死し、その跡を継いだ俊宗は奈良坂山の霊山坊を退治。宣旨を受けて鈴鹿山の大嶽丸を退治し、鈴鹿御前と結ばれて一子をもうけるが、再び近江国の悪事高丸征討の宣旨を受けて、これを退治する。鈴鹿山の鬼神退治は謡曲の『田村』でもよく知られているもの。
本文は水戸彰考館蔵古活字版に近似した流布本系統である。挿図は全四十一図と非常に多い上に、描かれた場面も怪物退治を中心に目を楽しませるものが多い。保存状態は良好。

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