和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(9)
さころも 奈良絵本
近世中期写 紙本極彩色十五図 桐函入 三冊 3,150,000円

縦16.4   糎、横24.4糎の横本。金箔散らし、金泥草花模様入紺色地表紙の中央に「さころも 上(中・下)」の如く墨書された橙色地金泥模様入書題簽を付す。見返しは金の切箔散らし。内題、奥書はない。極少湿気跡・少虫入・表紙補修済
「狭衣物語」から狭衣中将と飛鳥井姫の恋物語を採り、潤色した御伽草子。伝本の非常に多い作品だが、本書は「室町時代物語大成第六」所収の慶応義塾図書館蔵・慶長二年写本と極めて近い本文をもつ。「むかしくわんむ天わうの御時」という時代設定で始まり、結末は飛鳥井姫が大日の化身、狭衣中将は日光月光、狭衣の父母はそれぞれ不動、如意輪観音に顕れた、と本地物風の様相を呈しているところなどがその特徴として挙げられる。慶長二年写本とは話の筋運びや物語中の和歌などがほぼ一致しているが、本書の中巻にあたる姫君の筑紫出立のくだり以降は本文の異同が目立ちはじめ、概ね本書の方が筋の通りやすい詳しい本文をもつようみうけられる。慶長二年写本において目移りによる脱落があると思われる本文も本書には存在し、また狭衣中将が姫の墓にたどりついたくだり(本書下巻冒頭)においては、後の部分と矛盾をきたすかのような本文が本書にはみられない。但し、本書中巻の冒頭には、上巻の末尾部分と全く同じ本文が一丁と数行分重複して写されている(姫君の筑紫出立の場面)。極彩色挿絵は各冊に五図ずつの計十五図。概ね直前の場面の様子が描かれている。
 

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