和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(12)
住吉物語絵巻 奈良絵巻
近世前期写 紙本極彩色二十一図 桐函入 三軸 6,300,000円

住吉物語は、「継子物」の代表的な作品。現在伝わる物語は、平安時代に成立した作品改作であると考えられているが、鎌倉・室町時代を通じて多くの作品に影響を与えた。
本書は上中下の三巻で、各巻表紙題簽に「住吉物語 上(中、下)」とある。紙高32.5糎、長サ(上)14米48.2糎、(中)14米76.0糎、(下)13米76.9糎。青竹色地、松竹羽子板模様金襴の布表紙。本文料紙は鳥の子紙、金泥で草
木が描かれる。料紙裏には雲母を引き、金の切り箔を散らす。
本文は藤井本(流布本)系統とみられる。ただし、本書には一箇所、行文の乱れが認められる。物語の終盤、父大納言が姫との再会を果たし、継母に語って三条堀川に移ることが述べられるくだり(藤井本参照)がなく、当該箇所には物語
の中程にある、継母の企みによって姫の入内が阻まれ、左兵衛督との縁組みがなされる場面が混入している。
その他の特徴として、物語中の和歌は全二十五首で、遊び者の詠んだ「心から」の歌は地の文で記されること、また物語末は「昔も今も人にはらくろなる人はかゝる事なりこれをみきかん人々はかまひて人によかりぬへきなりとそ」となっており、観音のことには特にふれないことなどが挙げられる。
全二十一図(上七図、中七図、下七図)の挿絵は、土佐派の手になるものと思われ、襖や屏風の絵、着物の文様、調度品まで非常に丁寧に、きらびやかに描き込まれている。この物語の絵巻や絵本の作品はままあるが、本書は豪華壮麗な仕立てで、保存状態も極めて良好であり、伝本中、極上の一つに数えられる。

和洋古書善本特選目録 第13号〈和書の部〉 目次へ戻る
当社ホームページに含まれる文章・画像の無断転載を禁じます。
All rights reserved. (c) 2005 RINSEN BOOK CO.