

和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(13)
西行物語絵巻 奈良絵巻
近世前期写 紙本極彩色大図五十四図 黒漆塗函入 四軸 16,800,000円
紙高約35.5糎、長サ(一)14米59.2糎、(二)19米33.2糎、(三)15米74.0糎、(四)16米12.3糎。
挿絵は(巻一)九図、(巻二)十七図、(巻三)十五図、(巻四)十三図。平安末期の歌僧・西行の生涯を、彼の和歌にまつわる挿話・説話を中心に記したもの。中世以後の西行像形成に、大きな影響を与えた物語である。
本書は明応九(1500)年に三条公敦が詞を書き、海田釆女佑源相保が絵を描いた絵巻の系統である。原本は現存しないが、江戸時代にはこの系統の絵巻が多く製作された。本書の特徴は、冒頭の西行の出自を語る部分で、「ここに憶々万劫に一度受け難き……遂に西方の浄刹に往生す」の記述が欠けていることである。構図は、俵屋宗達画の渡辺家蔵本よりは、センチュリー・ミュージアム蔵本に近いようである。センチュリー・ミュージアム蔵本と比較してみると、小異はあるものの、構図・色彩ともに近似している。但し、章段・絵の順序は、かなり異なり、特に第二・三巻は、センチュリー・ミュージアム蔵本はそれぞれ三・二巻としており、順序の違いも甚だしい。巧みな絵師によるものらしく、端正な筆遣いと鮮やかな色彩で、景物、人物の表情、着物の柄まで精密に描かれている。表紙は茶色地に草花模様を織り出した布表紙。左上に「西行物語 巻一(二・三・四)」と墨書された題簽を付す。破損・虫損・汚れなどはほとんどなく、保存状態は極めて良好である。江戸時代前期、延宝〜貞享前後の作か。