和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(24)
根来版 応永刊経 三部秘経
応永二十三年から二十五年刊 拵三段桐函入 13軸 14,700,000円

「大毘盧遮那成仏神変加持経」七巻、「金剛頂一切如来真実摂大乗現證大教王経」三巻、「蘇悉地羯羅経」三巻の計十三巻。紙高28.0糎、長サ(大 毘 盧遮那経・巻一)10米36.0糎、(同・巻二)12米46.0糎、(同・巻三)8米23.4糎、(同巻四)9米57.4糎、(同・巻五)9米29.6糎、(同・巻六)8米17.5糎、(同・巻七)13米61.6糎、(金剛頂経・巻一)8米30.7糎、(同・巻二)7米37.0糎、(同・巻三)7米65.3糎、(蘇悉地経・巻上)16米35.0糎、(同・巻中)13米89.0糎、(同・巻下)18米48.0糎。金銀模様が一部に残る黒色紙表紙、本紙に墨朱訓点等書入有。
根来版とは、高野山から分かれた新義真言宗の総本山、紀州の大伝法院根来寺で出版された書物のこと。南北朝から室町末期までに、密部の典籍を中心に刊行されたが、天正十三年(1585)秀吉の根来攻めによって、その多くが焼失した。高野山において中絶していた伝法会(真言宗の教理を確認するための論議の行事)を復活させた覚鑁(興教大師)を開祖とし、頼瑜を中興の祖とする大伝法院根来寺は、講学も盛んであったことから、経典類の出版が行われたといわれている。「三部秘経」は真言宗において特に重要とされる三経典を指す。
各巻末に応永二十三年(1416)六月一日から同二十五年(1418)五月三日「大傳法院 恵淳」の刊記を有する。これは、高野山正智院蔵本等の刊記と一致する(水原尭栄著「根来版」『書誌学』一巻六号所収)。また、各巻末に別紙を継いで「慶長八年二月(三月)吉日法印玄順」による墨書がある。印刷は漆黒に近く、濃淡が見られるものの全体に良好な状態。一部に虫入。函書は蓋表に「根来板 應永刊経 三部」、蓋裏に「昭和辛巳秋日 一馬題(落款)」と墨書がある。書誌学者、川瀬一馬氏の旧蔵品と思われる。根来版の現存数は少なく、今日市場にでることは極めて稀。 (*=田+比)

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