

和洋古書善本特選目録第13号 和書の部(81)
東海道名所記
六巻(仮名草子) 浅井了意著 刊年不記(万治四年頃刊) 桐函入 六冊 3,570,000円
縦27.1糎、横18.2糎。紺色亀甲華模様入表紙に「東海道名所記二 小田原(より)
江尻ま(て)」の如き刷題簽が付されている(擦レ剥落有・巻一題簽欠)。三周双辺・一周単辺、無界、匡郭内縦20.5糎、横15.7糎、毎半葉12行。挿絵は巻一に十一図(内見開き一図)、巻二に九図(内見開き二図)、巻三に十図、巻四〜六に各六図(内見開き各一図)の計四十八図。各冊本文第一丁オに亀甲型朱印・少虫入・シミ跡有・表紙補修済
仮名草子の代表的作家として多様な作品をのこした浅井了意が、万治二年あるいは三年に東海道の旅をし、その体験をもとに著したのが本書であるとされる。
楽阿弥陀仏という僧と大坂の男が二人連れで東海道上り旅をするという旅行記の形をとって、街道筋の名所・旧跡・歴史・風俗・土産・風景などが語られ、到着した京の町の案内を加えて終る。単なる実用書としての名所記ではなく、名所案内を基に楽阿弥のよむ発句・狂歌や小説的趣向をもりこみ、また『丙辰紀行』『醒睡笑』『京童』等の内容もとりいれて、道中案内を兼ねた楽しい読み物として書かれている。楽阿弥に、のちの同作者による『浮世物語』の浮世坊の前身的性格がみとめられるのも興味深い。本書には手擦レ跡が見られるが、刷の状態は極めて良好。