既刊･価格等最新情報は小社ホームページをご覧ください。

　大須観音の名で親しまれる名古屋・真福寺所蔵の奈良、平安、鎌倉期にいたる古写本・古文書類中、重要文化財を含む未発表の典籍を中心に資料価値の高いものを厳選、影印・翻刻し、校訂注・解説を付して公刊する。国文学・仏教（密教）・神道研究者ならびに学術研究機関必備の第一級資料。
（左掲内容詳細をご覧ください）

第９巻 中世高野山縁起集
空海の開創した高野山金剛峰寺は、彼がその奥院に〈入定〉して今も在しますと信じられて以来、日本有数の〈霊地〉として朝野の崇敬を集め、繁く貴賎の参詣がなされた。大師伝でもある平安期の『金剛峰寺建立修行縁起』以降、高野山の縁起は中世に〈大師信仰〉伝承と結びついて展開してきたが、それは高野山の住侶たちの中で更なる神秘化を伴って中院流という学統の内で秘事口伝説として生成されていった。高野山に醸成された霊異に満ちた大師の事蹟や鎮守の丹生明神等との神仏習合の祭祀空間についての口決は、本来切紙伝授の形で相承されていたと考えられ、その伝書は多様な形態でまとめられた。今回影印する『高野山秘記』は、鎌倉時代の学僧道範により類聚された、そうした秘事口伝説の最もまとまった集成であり、豊かな内容を包摂している。その他、また異なった諸説を組み合わせた、成立や系統を異にする古写本『高野口決』（重文）をはじめ、真福寺蔵の高野山関係諸本をあげて紹介する。。