江戸時代における
機械論的身体観の受容

クレインス フレデリック 著 
菊判・クロス装・函入・466頁・図版227点 税込13,200円(本体12,000円+税) ISBN4-653-03958-5

人間の身体は動く機械である――17、18世紀西洋医学思想の礎をなす機械論的身体観は、江戸時代の蘭学者、医学者たちにどのように理解されたのか。ヨーロッパ原典との照合を軸とした文献学的分析により日本近代医学の黎明を解き明かす画期的論考。現代医学にも示唆するところ多い好著。

『医範提綱内象銅版図』第一図
(国際日本文化研究センター所蔵)

ウィリス『医学・薬学著作集』図版9(右)・図版11(左)

『医範提綱内象銅版図』
第三十九図


蘭方医学教科書のベストセラー
『医範提綱』を徹底分析

江戸時代の蘭学者、医学者がもっともよく利用した西洋医学の教科書は『解体新書』ではなく、蘭学者宇田川玄真がオランダ語版解剖書を典拠として解剖・生理学思想をまとめた『医範提綱』だった。この『医範提綱』及びその草稿「遠西医範」を文献学的に分析し、その思想的内容、とくに神経思想の基となる知識・思想の形成過程を解明する。また同時に日本医学の発展史における『医範提綱』の位置づけをも試みる。

第一部 宇田川玄真の神経観
     ―「遠西医範」・『医範提綱』の文献学的研究
第一章 『医範提綱』の典拠
第二章 「遠西医範」の典拠と脳・神経の記述
第三章 『医範提綱内象銅版図』の原図
第四章 『医範提綱』の典拠と脳・神経思想の変容
 

江戸の人気蘭方医は近代臨床医学の創始者の思想を
いかに受容したか

江戸時代の蘭学者であり医者としても名声を博した坪井信道が『万病治準』において部分的に翻訳した舶載蘭書『ブールハーフェ箴言解』(スウィーテン著)は、機械論的原理を医学に応用する方法論を確立したライデン大学教授ブールハーフェの病理論を注釈した思想的医学書である。翻刻と抄訳により両書を精細に比較分析し、機械論的身体観に基づくブールハーフェ医学を坪井信道がどのように受容したかを明らかにする。

第二部 ブールハーフェ医学思想の受容
第一章 坪井信道「万病治準」における病理論
第二章 マルピーギの受精卵観察と坪井信道
第三章 ブールハーフェの機械論的思想と坪井信道
 

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