ビジュアル文化シリーズ
背景:「北斎漫画」より雀踊り図

差別と向き合うマンガたち 

差別と向き合うマンガたち
吉村和真・田中聡・表智之 著 ■四六判上製・250頁 品切 好評につき第2刷! ISBN 978-4-653-04013-2

メガネ男子や大食漢がヒーローになれないのは、なぜ? 歴史マンガの野蛮人が文明人へと変貌したのは、なぜ? マンガには、私たちの思想の〈型〉が反映されている。それはどのようにして生まれ、形作られ、再生産されてきたのだろうか? 「マンガを読むこと」によって刷り込まれてしまう常識や感性に、三人の論者が迫る!

●吉村和真(よしむら・かずま)/京都精華大学マンガ学部助教授。専攻は思想史・まんが研究。「マンガを読む」という行為が日常生活の一部に定着するまでの歴史と、そのことが人間の思想や価値観・感性に与える影響について研究中。
●田中聡(たなか・さとし)/立命館大学・大阪樟蔭大学非常勤講師。専攻は日本古代史・日本史学史。「夷狄」「夷人」などと呼ばれた人々の実態や観念の検討を通じて、古代における自他認識の問題について研究中。
●表智之(おもて・としゆき)/京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター研究員。専攻は思想史・マンガ研究。19世紀日本における古物趣味の興隆と歴史意識の転換や、ポップカルチャー経験と歴史認識の関わりなどに関心を持つ。

若手研究者たちが「マンガと差別」に踏み込んだ。
マンガ研究の深化がここにある。
「マンガ=抵抗の武器」論も「マンガ=低俗な娯楽」論もすでに無効になっているのに、誰もが常識に捕われて「マンガと差別」の本質的考察をしようとしなかった。
マンガ表現そのものを見据えて「差別」を論じた画期的な一冊である。
(評論家・呉智英)

〈編集者より〉
この本では、作品の内容や表現を特定のイデオロギーに当てはめて批評するのではなく、マンガというポピュラーカルチャーの文化的・歴史的なバックグラウンドを分析することで浮き上がる「差別」の問題に注目しています。「登場キャラクターの見た目と性格」「時代とともに変容する歴史マンガのメッセージ性」「身近なメディアだからこそ起こる問題」の三つの視点を通して、「マンガ」というメディアが私たちのどのような思想背景のもとに成り立っているのか、そして、私たちの認識・感情・行動にどれほど影響を及ぼしているのかを考察します。

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