目録学の誕生
劉向が生んだ書物文化

京大人文研東方学叢書 6

古勝隆一著
四六判・上製・紙カバー装・帯付 総268頁
本体3,000円+税

ISBN978-4-653-04376-8


人にとって書物とは何か。なぜ、書物は必要なのか

書物をぬきにして中国文化を語ることはできない。その書物は、どのように書かれ、整理され、系統立てられ、そして伝承されてきたのだろうか。前漢にはじまる皇室の図書事業は、やがて独立した「書物の学問」=「目録学」に発展し、過去から未来へと学問をつなぐ知の集積がはじまっていく。目録学の始祖とされる劉向(りゅうきょう)は、何を考え、何を成し遂げたのか。原資料と先行研究を幅広く渉猟し、目録学の誕生史を描き出す。

<目次>
はじめに
序章 目録と目録学
 第一節 校書と分類の関係
 第二節 目録と書目
 第三節 「校讐」の起源―校正の始まりについての一試論
 第四節 中国学術の全体像を俯瞰する
 第五節 「儒」の位置
 □コラム 目録学と校讐学
第一章 劉向目録学のインパクト
 第一節 二劉の学の大きさ
 第二節 書目の背後にあるのは「学術」である
 第三節 術をめぐって
 第四節 官職と書物
 第五節 『漢書』芸文志の序文を読む
 第六節 「大序」は誰の文章か
 □コラム 書物と国家
第二章 目録学前史―戦国時代から前漢時代における学術と学派
 第一節 諸子を批判する諸子
 第二節 批判精神の発露―『荀子』非十二子篇
 第三節 道術の衰え―『荘子』天下篇
 第四節 学派内部の分裂をめぐって―『韓非子』顕学篇
 第五節 司馬談の学術観
 □コラム 荀子は子思と孟子を批判したのか
第三章 前漢時代の皇帝と学問
 第一節 焚書のダメージ
 第二節 漢初の学問好尚の変化
 第三節 武帝と儒教
 第四節 ポスト武帝時代から前漢末にいたる学問好尚
 第五節 前漢における六芸の位置
 第六節 漢室と神仙思想
 第七節 前漢における図書蒐集の歴史
 □コラム 芸をめぐって
第四章 劉向の家系と学問
 第一節 『史記』楚元王世家と『漢書』楚元王伝
 第二節 劉向の祖先、楚の元王
 第三節 劉交の子孫たち
 第四節 劉向の曽祖父・祖父・父
 第五節 劉向の生涯
 第六節 毀誉褒貶を生んだ劉歆の生き方
 □コラム 劉安と劉向
第五章 『別録』と『七略』
 第一節 『別録』と『七略』
 第二節 『七略別録』とは何だろう
 第三節 『別録』『七略』のその後
 第四節 『別録』『七略』の輯本
 第五節 姚振宗輯本の登場
 第六節 『別録』『七略』に著録された書物
 第七節 劉氏校書と『漢書』芸文志
 □コラム 姚振宗とその著作
第六章 校書の様相
 第一節 校書を担ったのは誰なのか
 第二節 校書の記録―「荀子書録」を例として
 第三節 校書の実態―『戦国策』の場合
 第四節 序録に見える「中書」
 第五節 校書はどこで行われたのか
 □コラム 天禄閣から飛び降りた楊雄
第七章 『七略』の六分類
 第一節 なぜ「七」略なのに「六」文類なのか
 第二節 『七略』の六分類
 第三節 輯略について
 第四節 六分類の体系性をめぐって
 □コラム 数術略なのか術数略なのか
第八章 ポスト劉向時代の目録学
 第一節 劉向らの校書は無力だったのか
 第二節 劉向らが校讐した本の運命
 第三節 劉向らの校書結果の影響
 第四節 四部分類の誕生
 第五節 現代にも残るその影響力
 □コラム 劉向的分類を乗り越えることの難しさ
第九章 劉向の学を広め深めた学者たち―鄭樵・章学誠・余嘉錫
 第一節 鄭樵の学術観―理想の学術分類を目指して
 第二節 章学誠の見た劉向―目録学の理念
 第三節 余嘉錫の目録学―近代に劉向を伝える
 第四節 目録学は本当に劉向が始めたのか
 □コラム 「言公」の読みづらさ
終章 書物はなぜ必要なのか
 第一節 書物は聖人が遺した糟粕なのか
 第二節 劉向の思い
 第三節 書物肯定と否定のはざま
主要資料・参考文献一覧/あとがき/図版出典一覧/関連年表/索引

●著者
古勝隆一(こがち りゅういち)
京都大学人文科学研究所准教授。専攻は中国古典学。主な著書・訳書に『中国中古の学術』(研文出版、2006)、余嘉錫『目録学発微』(平凡社、東洋文庫、2013)、井筒俊彦『老子道徳経』(慶応義塾大学出版会、2017)などがある。

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