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仏教の聖者
史実と願望の記録

京大人文研東方学叢書 8

船山徹著
四六判・上製・紙カバー装・帯付 総242頁
税込3,300円(本体3,000円+税)

ISBN978-4-653-04378-2【2019年6月刊】


信じれば仏になれるのか―― 仏教の聖者観を根本から問い直す!

仏教の歴史のなかに聖者はいたのか、いなかったのか。素朴な問いに端を発する仏教の聖者への関心は、やがて信仰の内実へとつながる大きな問いへと発展していく――仏教史に名を残す学派の祖師や学僧たちは、どのような修行を行い、いかなる宗教的階位に到達したのか。原典資料を読み解き、誤った理解が蔓延する仏教の聖者観を問い直す。巻末に基本用語集を収録。

<目次>

 (一) 聖者をめぐる素朴な問い
 (二) わたくしの関心
 (三) インドの祖師たちと菩薩の十地
 附論 宗教文献の扱い方
第一章 聖者を表す言葉
 第一節 これまでの聖者観
 第二節 聖者の葬り方
 第三節 漢訳仏典の「聖」「聖人」
 第四節 漢訳「賢聖」について
 第五節 「仙人」と「真人」
 第六節 日本語の「聖(ひじり)」
 □コラム 僧名1 ヴァスバンドゥという名の由来
第二章 聖者を騙ると……
 第一節 僧伝に描かれた聖者
 第二節 自称聖者と偽聖者
第三章 安易な聖者化――語り物的な描写
 第一節 僧伝に見る聖者と小乗の修行
 第二節 中国的な大乗のイメージ
 □コラム 僧名2 インドの僧名と出身階級
第四章 聖者の数
 第一節 聖者になれる人は多い
 第二節 聖者は極めて少ない
第五章 聖者になる修行
 第一節 五世紀末に転換した聖者論
 第二節 偽経『菩薩瓔珞本業経』の三十心
 第三節 初地の意義と二重性
 第四節 インド仏教の修行体系――小乗と大乗
 第五節 玄奘門下の修行体系
 □コラム 時間1 「クシャナ(刹那)」という最短の時間
第六章 仏教から道教へ、キリスト教へ
 第一節 道教への影響
 第二節 仏教の「聖」を引き継いだキリスト教
 第三節 「聖地」という言葉
第七章 理論と信仰の狭間で
 第一節 聖者の証し
 第二節 到達可能性と論述可能性
 第三節 慧思と智顗の自覚
 第四節 玄奘と兜率天
 第五節 弥勒の内院とは
 □コラム 時間2 インドに四季はあるのか
第八章 「異香、室に満つ」
 第一節 死後の「頂暖」
 第二節 臨終の指
 第三節 臨終の「異香」
 第四節 救済を願って
 第五節 異香のイメージ――どんな匂いか
 □コラム 時間3 「カルパ(劫)」という最長の時間
第九章 終わりに 聖者伝は史実か、願望の記録か
参考文献――仏教の聖者観について
付録一 略年表(十四世紀初め頃まで)
付録二 本書の基本語
あとがき
索引

●著者
船山 徹(ふなやま とおる)
京都大学人文科学研究所教授。専攻は仏教学。主な著書に『東アジア仏教の生活規則 梵網経―最古の形と発展の歴史』(臨川書店、2017)、『仏典はどう漢訳されたのか―スートラが経典になるとき』(岩波書店、2013)などがある。

「京大人文研東方学叢書 第一期」全巻紹介ページ

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e-mail: kyoto@rinsen.com